公益財団法人福岡市スポーツ協会 スポーツ推進プラン
はじめに
福岡市スポーツ協会は、昭和37年に、前身の福岡市体育協会が19の競技団体の加盟によって発足し、平成3年に財団法人化した後、平成22年に財団法人福岡市スポーツ振興事業団と統合しました。これにより、両団体が持つ専門的な知識や経験、ネットワークを効果的に活用できる官民共同組織として、より幅広い役割を担うことが期待される団体となりました。その後、平成24年に公益財団法人へ移行し、名称も市民に親しみやすいように「福岡市スポーツ協会」に変更しました。
福岡市スポーツ協会では、42加盟団体の協力・連携のもと、生涯スポーツ及び競技スポーツの推進を図り、もって、スポーツ文化の発展と活力ある社会づくりに寄与することを目的として、市民総合スポーツ大会開催、各種スポーツ教室や国際スポーツ交流事業、指導者の養成などのスポーツ振興事業を実施するほか、体育館・プールの管理運営を行ってまいりました。
これらの事業を実施するにあたって、公益財団法人へ移行したことを契機に、本協会のあるべき姿・進むべき方向を定める今後10年間の活動指針として「スポーツ推進プラン」を平成23年に策定しました。
福岡市スポーツ協会のあるべき姿・進むべき方向
福岡市スポーツ協会は、平成23年に創立50周年を迎えました。今後も、福岡市の市民スポーツを統括する公益財団法人として、福岡市における生涯スポーツ及び競技スポーツの推進を図り、スポーツ文化の発展と活力ある社会づくりに寄与していきます。
そのためには、本協会がこれまで実施してきた、主に加盟団体やその会員を通じて市民スポーツの普及振興に貢献するという活動に加えて、年齢や障がいの有無に関わらず、全ての市民に直接働きかける事業を積極的に展開し、スポーツを通した子どもの健全育成、地域住民の連帯、豊かで健康的な市民生活の構築と健康維持増進に寄与するなど、これまで以上に公益性の高い活動が求められることになります。加盟団体が主体的に行う様々な活動においても、公益財団法人を構成する組織の一員であることを踏まえ、公益性を高めていく必要があります。
また、幅広い市民が「する」「みる」「支える」スポーツを身近に感じ、「いつでも」「どこでも」「誰でも」気軽にスポーツを楽しむことができる機会と方法を提供するとともに、スポーツに関する様々な情報や場の提供も、本協会の大切な役割です。そのほか、スポーツ施設の充実を促進するとともに、既存施設の有機的かつ有効な活用により対応することも、本協会として取り組むべき重要な課題です。
これからの福岡市スポーツ協会には、福岡市をはじめ、公益財団法人福岡県体育協会等の関係機関・団体、スポーツ推進委員や公民館、地域コミュニティ、大学、民間スポーツクラブ等との連携と適切な役割分担により、市民スポーツの普及振興活動を推進していくためのソフトとハード、そして情報をコーディネートできる組織となることが期待されています。
本協会は、期待される福岡市スポーツ協会像を実現し、福岡市の市民スポーツの普及振興にこれまで以上に貢献するため、次の4つのテーマを「重点項目」とし、その実現を目指して、事業を推進しています。
重点項目1:地域スポーツの振興と市民の健康づくり
地域に根ざした活動のひとつとして、公民館や校区自治協議会等と連携し、福岡市独自の「総合型地域スポーツクラブ」のモデル事業に取り組むなど、福岡市の地域コミュニティの特性を活かしたスポーツ活動に貢献します。
また、本協会の加盟団体、スポーツリーダー・バンク、スポーツ少年団、スポーツ推進委員の活用等により、子どもから高齢者まで幅広い世代を対象に、スポーツの楽しさや運動する喜びを伝え、市民の健康・体力・生きがいづくりを促進します。
そのために、福岡市健康づくりセンター「あいれふ」や各区保健福祉センター(保健所)、大学等の研究機関、民間スポーツクラブ等と連携した健康づくり教室の開催や、その後の自主的・継続的な活動をフォローアップできる能力を持つ指導者の育成と資質向上に努めます。
重点項目2:スポーツ人口の拡大と競技力の向上
加盟団体をはじめ、多くの関係団体と協働し連携を保ちつつ、「いつでも」「どこでも」「誰でも」気軽にスポーツを楽しめる機会や環境を充実させ、スポーツを介して多くの市民がつながる活動を推進します。市民総合スポーツ大会はその大きな機会であり、選手としての参加だけでなく、ボランティアスタッフや応援・観戦等により多くの市民の参加を促進し、スポーツ人口の拡大を目指します。
また、地元のプロスポーツに象徴されるように、あらゆる競技種目で市民が選手として大きく成長・飛躍しトップアスリートとして活躍することは、子ども達のみならず、多くの市民に夢や感動、そして勇気を与えるものです。そのため、本協会ではプロスポーツチームと市民との交流機会を増やすとともに、加盟団体では各種の事業を通じて各年代層の競技力の向上に努め、県民体育大会から全国レベルの大会まで常に好成績を残せるよう努力していきます。
重点項目3:スポーツを通した子どもの健全育成
文部科学省が小中学生を対象に行っている「全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)」によれば、特定の種目に特化し積極的に係わる層と、スポーツ活動全体と疎遠になり、消極的な係わりしか持たない層の二極化が進んでいます。また、福岡市においては、多くの項目で全国平均の数値を下回る結果となっており、子どもの体力・運動能力の低下は、特に深刻な問題となっています。そのため、幼児期・児童期から「"遊びとしてのスポーツ"との出会い」を提供し、「継続的な係わり」を支援することが重要な課題です。
今後、本協会では、施設の管理者として運営する体育館やプール等の「スポーツ施設」をはじめ、学校の体育館や校庭、公民館、公園、緑地等を活用し、子どもが「"遊びとしてのスポーツ"に出会える場」を積極的に創造します。
そのため、本協会の加盟団体やスポーツリーダー・バンク、スポーツ推進委員等との協力・連携はもとより、幼児教育機関との連携による各体育館等の活用の可能性や具体的手法を検討します。
このような取り組みにより、本協会の施設や組織の活性化を図りながら、スポーツを通して子どもの健全育成に寄与していきます。
重点項目4:公益財団法人としての組織づくり
本協会が、公益財団法人として社会的評価を高めるためには、スポーツ愛好者を増やすための教室や市民が気軽に参加できる健康づくり事業、スポーツイベントの開催など、福岡市の市民スポーツの推進に寄与する公益性の高い事業を積極的に展開するとともに、区レベルや地域レベルでの活動を充実していくことも重要です。そのためには、加盟団体の情報発信や後継者の養成、生涯スポーツの視点を持った指導者等の人材育成など、組織の活性化につながる主体的な活動への支援の充実を図り、あわせて、加盟団体が自由に交流し活動できる拠点となる場の設置により、スポーツを通したコミュニティ形成の気運醸成と、スポーツに関する様々な情報発信ができる環境をつくります。また、新たな団体の加盟を促進するほか、多様な団体・市民との協力・連携を推進していきます。
さらに、公益財団法人としての社会的信用度向上を踏まえた新たな賛助会制度を創設するなど、財政基盤の強化を推進し、市民がスポーツを「する」「みる」「支える」環境の充実を目指して、市民スポーツの統括団体としての役割を果たしていきます。
スポーツ推進プラン実施計画
重点項目ごとに重要な施策・事業の具体的な方向性を定めた「スポーツ推進プラン実施計画」を策定しております。
この実施計画は平成24年度から平成33年度までの10年間の計画であり、計画策定からこれまでの施策・事業の成果を検証するとともに、社会情勢の変化や協会を取り巻く環境の変化、「福岡市スポーツ振興計画」等を踏まえて中間見直しを行い、平成29年度より新たな実施計画に基づき事業を推進しています。