2 福岡市スポーツ協会の現状と課題
(1)スポーツ協会を取り巻く環境の変化
① 大規模国際スポーツ大会の開催
2019年「ラグビーワールドカップ」、2021年「世界水泳選手権」の福岡市開催決定をはじめ、スウェーデンオリンピック委員会との2020年「東京オリンピック・パラリンピック」の事前合宿地の基本合意などにより、世界トップレベルのプレーを身近に接することは、競技スポーツの振興はもとより、市民スポーツの普及・振興に大きく寄与するものです。
~ 市民のスポーツへの関心・期待の高まり ~
② 指定管理施設の減少
現在、指定管理を行っている体育館・プール(6施設)については、平成29年度より福岡市の指定管理が民間事業者を対象とする公募選定となるため、指定管理施設が大幅に減少するとともに、施設における収益事業も減少します。
平成28年度指定管理施設(6施設) | 市民体育館、西市民プール、東体育館、中央体育館、西体育館、ももち体育館 |
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平成29年度指定管理施設(3施設) | 市民体育館、西市民プール、中央体育館 |
③ 福岡市の外郭団体等の見直し
スポーツ協会は、福岡市のスポーツ行政を推進する外郭団体です。福岡市行財政改革プランにおいて外郭団体等で事業を行うことの妥当性を視点とした見直しに取り組むとともに、外郭団体実行計画において市と協会の役割分担を明確にし、協会の役割を踏まえ た事業の充実など、経営改善が必要な団体となっています。
- 取組項目 ― 事業の見直し、組織体制の見直し、自主財源の拡大
(2)加盟団体等へのアンケート・ヒヤリング調査
スポーツ推進プラン実施計画の中間見直しにあたり、加盟団体等へスポーツ推進プランについてアンケート・ヒヤリング調査を実施しました。
(アンケート:加盟団体44団体、ヒヤリング:加盟団体11団体、関連団体:4団体)
重点項目1 地域スポーツの振興と市民の健康づくり
- 地域スポーツ活動の活性化、子ども・中高年の健康増進、高齢者の健康寿命の延伸につながるプログラムの提供
- 専門的知識を生かし、もっと遊び心を取り入れたスポーツ教室の開催
重点項目2 スポーツを通した子どもの健全育成
- 若年齢時は、特定の1種目に固定せず、多くの種目を体験すべき
- トップアスリートの講演会、指導者対象の講演会や技術指導等の実施
重点項目3 スポーツ人口の拡大と競技力の向上
- 市民総合スポーツ大会総合開会式のあり方そのものを検討すべき
- リーダーバンク制度の周知
- 地元選手が日本代表として参加できるよう選手強化を盛り込んでほしい
- 1年中50mプールで練習できる環境の確保
重点項目4 公益財団法人としての組織づくり
- 広報活動の充実(初心者教室の案内等)
- 加盟団体間の交流が少ない、連携が取れれば、新たな取り組みが可能
その他
- 競技団体の要望・実態を把握し、市スポーツ振興計画を踏まえた事業・施策の推進
- 市とスポーツ協会との適切な役割分担による計画の策定
(3)福岡市市民スポ―ツ実態調査
市民スポーツの状況の推移を把握するとともに、福岡市スポーツ振興計画の中間見直しを行うための基礎資料とするため、市民のスポーツ活動の実態調査です。(平成26年度)
① 直近1年間のスポーツ実施日数
「週に1日以上」実施している人が59.3%となり、前回を10ポイント近く上回っている。(平成18年度 49.4%)
② 運動・スポーツをした理由
「健康・体力づくりのため」が最も高く、次いで「楽しみ・気晴らしとして」「運動不足を感じるから」となっている。
③ 今後参加したい地域のスポーツ行事
1位 | 2位 | 3位 | 統計 | 順位 | ||||||
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実数 |
特典 (3点) |
実数 |
特典 (2点) |
実数 |
特典 (1点) |
実数 | 総得点 | 平均点 | 順位 | |
健康、体力づくり (体操、3B体操など) |
172 | 516 | 105 | 210 | 46 | 46 | 323 | 772 | 0.79 | 1 |
体力テスト、スポーツテスト | 77 | 231 | 78 | 156 | 46 | 46 | 201 | 433 | 0.44 | 2 |
レクリエーション的行事 (運動会等) |
87 | 261 | 58 | 116 | 52 | 52 | 197 | 429 | 0.44 | 3 |
スポーツ教室 | 72 | 216 | 74 | 148 | 58 | 58 | 204 | 422 | 0.43 | 4 |
野外活動的行事 (キャンプ、ハイキング等) |
66 | 198 | 63 | 126 | 62 | 62 | 191 | 386 | 0.39 | 5 |
競技会的行事 (スポーツ大会等) |
80 | 240 | 27 | 54 | 27 | 27 | 134 | 321 | 0.33 | 6 |
その他 | 11 | 0 | 0 | 11 | ||||||
参加したいと思わない | - | - | - | 319(32.6%) |
健康・体力づくり志向の行事が最も求められている。(健康・体力づくり 、体力テスト・スポーツテスト、レクリエーション的行事)
④ スポ―ツを行う際の主な情報経路
インターネット、口コミ、市や区の広報が上位となっている。インターネットは前回(11.6%)より急増している。
⑤ スポーツを行った主な場所・施設
校区内の「公園や広場」「道路や空地」、「自分の家」、「民間(商業)スポーツ施設(校区外)」が上位となっている。
自分の家 | 8.9 |
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他人の家 | 0.4 |
道路や空地(校区内) | 9.3 |
公園や広場(校区内) | 10.2 |
河川敷(校区内) | 2.1 |
小学校運動場(校区内) | 1.6 |
小学校体育館(校区内) | 2.8 |
中学校運動場(校区内) | 0.8 |
中学校体育館(校区内) | 0.8 |
公民館(校区内) | 1.3 |
企業や職場の施設(校区内) | 0.7 |
公共スポーツ施設(校区内) | 5.4 |
民間(商業)スポーツ施設(校区内) | 6.4 |
海や山(校区内) | 1.1 |
その他(校区内) | 2.1 |
道路や空き地(校区外) | 5.1 |
---|---|
公園や広場(校区外) | 2.3 |
河川敷(校区外) | 0.9 |
小学校運動場(校区外) | 0.0 |
小学校体育館(校区外) | 0.0 |
中学校運動場(校区外) | 0.3 |
中学校体育館(校区外) | 0.1 |
公民館(校区外) | 0.4 |
企業や職場の施設(校区外) | 1.6 |
公共スポーツ施設(校区外) | 6.0 |
民間(商業)スポーツ施設(校区外) | 8.1 |
海や山(校区外) | 2.8 |
その他(校区外) | 1.6 |
不明 | 16.8 |
校区内の「公園や広場」「道路や空地」、「自分の家」、「民間(商業)スポーツ施設(校区外)」が上位となっている。
(4) 福岡市スポーツ振興計画中間見直し(案)
(平成29年2月14日福岡市スポーツ推進審議会 中間見直し[案]審議資料より抜粋)
福岡市スポーツ振興計画は、市民スポーツを取り巻くさまざまな環境変化や多様な市民ニーズに的確に対応し、効果的・効率的に施策を推進するため、福岡市スポーツ・レクリエーション振興における基本的な指針となる総合的な計画です。
計画策定後5年を経過したため、市民スポーツ実態調査の結果等を踏まえ、福岡市スポーツ振興計画の中間見直しを行い、子どもから高齢者、障がい者など、すべての市民が、心身共に健康で豊かな生活を営むことができるよう、生涯にわたって身近なところで気軽にスポーツ・レクリエーション活動に親しめる環境づくりを進めていくものです。
中間見直しの視点
これまでの施策に対する評価
市民スポーツ実態調査において、スポーツ振興計画で定めたスポーツを「する」「みる」「支える」3つの成果指標は、いずれも上昇しており、スポーツ振興計画に基づくこれまでの施策が着実な成果をあげている。
成果の一方で、次のような今後さらに取り組むべき課題も明らかになった。
「する」場面
運動不足を感じている市民が多いこと、子どもの運動能力の低下、高齢者や障ががい者など、誰もが気軽にスポーツに親しめる環境づくりが課題となっている。
「みる」場面
多彩なプロやアマチュアのトップレベルのスポーツチームが活躍しており、このようなチームの存在が、次世代を担う子どもたちに夢と希望を与えるなど、広く市民の「する」スポーツのすそ野を広げる大きな役割を果たしている。
しかし、誕生して間もないチームもあり、その名称や活動、子どもの健全育成などへの積極的な取組が、広く市民に周知されていない。
「支える」場面
政令指定都市に昇格した昭和47年頃に集中的に整備されたスポーツ施設が多いこともあり、それらの施設の維持・更新が課題となっている。一方、市の財政状況は今後も厳しい状況が見込まれているため、スポーツ振興に関する予算を持続的に確保していくためのしくみづくりも課題となっている。
計画の目標・施策
(1)スポーツを「する」
目標1 スポーツでこころとからだの健康づくり
施策① 暮らしの中のスポーツの普及・振興
無理なく気軽に始められるスポーツの普及・振興
施策② 健康づくりとスポーツの推進《重点》
多様で体系的な健康づくりスポーツの普及
目標2 スポーツで仲間ときずなづくり
施策① 子どものスポーツ・外遊びの充実《重点》
子どもの体力向上と健全育成
施策② 誰もが一緒に楽しむスポーツの普及・振興
子どもから高齢者、障がい者等のスポーツの普及・振興
施策③ スポーツで地域のきずなづくり
身近な地域におけるスポーツ・レクリエーションを通して、地域のきずなづくりやコミュニティの活性化
施策④ 競技としてのスポーツの充実
競技としてのスポーツの振興
(2)スポーツを「みる」
目標3 スポーツで夢と希望あふれる活力ある都市づくり
施策① 大規模大会の開催等による市民スポーツの振興・国際交流の推進
大規模なスポーツ大会の開催や地元のプロ、アマチュアのスポーツチームの交流を活かし、市民スポーツの振興
施策② 大規模大会の開催等による都市の活力・魅力づくり《重点》
大規模なスポーツ大会の開催や地元のプロ、アマチュアのスポーツチームの交流を活かし、都市の活力と魅力を創造
(3)スポーツを「支える」
目標4 スポーツ活動のための場づくり
施策① さまざまなニーズに対応するスポーツ環境の充実《重点》
公共施設や民間施設、豊かな自然など身近な地域のスポーツ環境を充実
施策② 公共スポーツ施設の利便性向上と有効活用
営業時間の拡大や利用時間枠の細分化など、既存施設のさらなる有効活用・利便性向上
施策③ スポーツ施設の安全・安心な運営と維持可能な仕組みづくり
必要な公共サービスの提供を維持・継続するとともに,民間活力の導入や利用者の受益と負担とのバランスの見直しなど
目標5 スポーツ活動のための担い手づくり
施策① 市民スポーツを支えるしくみづくり
スポーツ指導者やボランティアの発掘・育成、活用
施策② スポーツ情報提供の充実
スポーツ・レクリエーションに関する情報を分かりやすく提供
施策③ 多様な担い手との協力、連携による施策の推進《重点》
スポーツ振興の推進体制の強化、再編及び、民間事業者をはじめ多様な主体との協力・連携による効果的な施策の推進